文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ウィリアム・トレヴァー『ラスト・ストーリーズ』

ウィリアム・トレヴァー 栩木伸明訳

『ラスト・ストーリーズ』 国書刊行会

 

ウィリアム・トレヴァー(1928-2016)の『ラスト・ストーリーズ』を読了しました。アイルランド出身の作家トレヴァーの最後の作品集が本書で、10編の短編作品が収録されています。掬おうとして手の隙間から零れ落ちてしまう水のように、注意深く読まないと受け止めることができない人生の有様を丁寧に描いた作品が並べられています。「ミセス・クラスソープ」も印象に残りましたが、冒頭に配された「ピアノ教師の生徒」で描かれたものは小説でしか描き得ないもののような気がして、この作家の力量を感じさせれます。

 

【満足度】★★★☆☆