大江健三郎 文/大江ゆかり 画
『恢復する家族』 講談社文庫
大江健三郎の『恢復する家族』を読了しました。障害を持って生まれてきた長男との共生の歩みを手掛かりとして、傷と癒しについての思索を深めていく作家と家族の様子を綴った長篇エッセイです。ところどころに作家の妻であるゆかり氏の描いたドローイングが差し込まれています。
エッセイの最終盤に挿入された「裸の王様」を揶揄する怪文書に対する作家の間接的な回答として示された言葉の中に、このエッセイを通じて問い求められた「人の心を癒し、恢復させる力」の正体がよく顕されていると思います。
【満足度】★★★☆☆