文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

カレル・チャペック『白い病』

カレル・チャペック 阿部賢一

『白い病』 岩波文庫

 

カレル・チャペック(1890-1938)の『白い病』を読了しました。著者が亡くなる前年の1937年に発表されたこの戯曲作品は、ナチス・ドイツによるチェコスロバキア共和国の解体を目前にした時代にあって、疫病と戦争を巡る倫理の問題をある意味ではシンプルな図式のもとで提示してみせる、明快なテーマを持ったものになっています。

 

全世界がコロナ禍の渦中にあった2020年に本書が新たに訳出されたという点も意義深いのですが、岩波文庫では最近カレル・チャペック作品の新訳出版が続いているようで、他の作品も読んでみたいと思います。

 

【満足度】★★★☆☆