文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

『パウル・ツェラン全詩集Ⅲ』

中村朝子

パウル・ツェラン全詩集Ⅲ』 青土社

 

パウル・ツェラン全詩集Ⅲ』を読了しました。本書の内容については、巻末の訳者あとがきの中で次のように述べられています。

 

 この訳詩集の底本には、全五巻からなる、現在刊行されている唯一のパウル・ツェラン全集[Gesammelte Werke. Hsg. Von Beda Allemann und Stefan Reichert unter Mitwirkung von Rolf Buecher. Suhrkamp Verlag. 1983]を用いた。

 この五巻本全集にはツェランが生前に刊行した七冊の詩集とツェランの死後に刊行された三冊の詩集に収められている全作品と、個々に発表されていたが、詩集に収められなかった詩作品が、五巻のうち第一巻と第二巻及び第三巻の一部に収録されている。この全集の第一巻、第二巻と第三巻のうちの詩作品をそれぞれ同じ内容でこの訳詩集の第一巻ないし第三巻としている。

 

以上を読んだだけでは私には理解が及ばない部分もあり、また処女詩集である『骨壷たちからの砂』と次の詩集『罌粟と記憶』の成立事情が複雑に絡み合っていることから、かなり分かりにくい構成になっていると思うのですが、シンプルに詩の言葉に耳を傾けるだけであればあまり気にする必要はないのかもしれません。本作には長詩「死のフーガ」を含む処女詩集『骨壷たちからの砂』や遺稿・補遺などが収録されています。

 

【満足度】★★★☆☆