文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

阿部和重『グランド・フィナーレ』

阿部和重

グランド・フィナーレ』 講談社文庫

 

阿部和重の『グランド・フィナーレ』を読了しました。2005年に刊行された本書は第132回芥川賞受賞作なのですが、作者がそれ以前に発表した『インディビジュアル・プロジェクション』といった作品や、作者の故郷の地域を思わせる架空の地方都市である「神町」を舞台にした大作『シンセミア』などが読書界隈の話題をさらっていたことを思えば、芥川賞の受賞も何を今さらという感覚だったことを覚えています。

 

本書の刊行当時にハードカバーで読んだ記憶はあるのですが、今回は17年近くの歳月を経てからの再読となりました。高橋源一郎氏にしか書けないであろう解説を含めて、もやもやとした感想を抱きながらも、主題も文体も獲得されたよくできた小説であることには理解が及びます。

 

【満足度】★★★☆☆