文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

J・M・G・ル・クレジオ『パワナ―くじらの失楽園』

J・M・G・ル・クレジオ 菅野昭正訳

『パワナ―くじらの失楽園』 集英社

 

J・M・G・ル・クレジオ(1940-)の『パワナ―くじらの失楽園』を読了しました。1992年に発表された作品で、短編と言うべき長さのものになっています。タイトルの「パワナ」とは鯨のことで、捕鯨を巡る現実を幻想的に語るというル・クレジオらしい(?)小説だなという印象です。本編の半分ほどのボリュームのある訳者解説では、メルヴィルの『白鯨』との対比や、捕鯨の歴史的背景なども詳細に展開されていて、読み応えがあります。

 

【満足度】★★★☆☆