『僕が本当に若かった頃』 講談社文芸文庫
大江健三郎の『僕が本当に若かった頃』を読了しました。1988年から1992年にかけて発表された短編作品集です。一見したところ私小説に範を取った(それが見かけほどに単純なものではないことは本書の解説において指摘されていますが)作者らしい短編小説に加えて、いわゆる純粋な短編小説も収録されていて、そうした意味でユニークな作品になっていると感じられました。
表題作に込められたドラマティックな展開は作者の初期小説を思わせるようでもあって、『僕が本当に若かった頃』というタイトルそのものとも響きあって、懐かしい面白さを感じることができた読書となりました。
【満足度】★★★★☆