文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

吉村達也『風吹村の惨劇』

吉村達也

『風吹村の惨劇』 徳間文庫

 

吉村達也の『風吹村の惨劇』を読了しました。一連のシリーズも第三作目を迎えて、読者が心に抱き始める予定調和から外れるようにして、本書においてシリーズの転換点ともいえる展開を持ってくるあたりに、作者の周到な企みが感じられます。ミステリーとしてのテーマも面白いものになっているのですが、単独作品においてこの仕掛けを一つだけ持ってこられると、どうしても物足りなさが感じられてしまうのかもしれません。やはりこの連作は五作全体を通して一つの作品として読まれるべきものなのだと思います。

 

【満足度】★★★☆☆