文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ミシェル・ウエルベック『セロトニン』

ミシェル・ウエルベック 関口涼子

セロトニン』 河出書房新社

 

ミシェル・ウエルベックの『セロトニン』を読了しました。世界中で注目される作家の最新作品ですが、日本で翻訳書が出版されてからも随分と時間が経過してしまいました。愛を巡る現代人の絶望を描いた物語というといささか陳腐に聞こえますが、これは作者がデビュー作以来一貫して主題にしてきたものでもあります。

 

国際的な農業関連の仕事に携わる主人公のビジネスに関する描き方など面白く読ませる部分もあるのですが、焦点となっているはずの部分に読者である私自身の目が向け切られることなく読み終わってしまったような印象があります。3年以上も本棚で眠っていたにもかかわらず、まだ本書は読まれるべきときを迎えていなかったのかもしれません。あらためていつか読み直してみたいとは思うのですが。

 

【満足度】★★★