文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

貴志祐介『黒い家』

貴志祐介

『黒い家』 角川ホラー文庫

 

貴志祐介の『黒い家』を読了しました。数々のベストセラー作家を生み出した日本ホラー小説大賞の第四回大賞受賞作品で、言わずとしれた日本のホラー小説作品の傑作のひとつです。生命保険を主題に据えることで、メインとなるプロットの他にも保険給付詐欺の様々な手口を物語の中に組み込みながら、最後までページを繰らせる作品になっています。

 

実在の事件を想起させるような展開の果てに、人間と人間が対峙するときの力の存在というものに思いを巡らされます。悪しきものから生まれた力に対峙していくための力は、果たして聖なるものであり得るのかというテーマの普遍性が、この物語に強い説得力を与えているのだと思います。

 

【満足度】★★★