『時の石』 角川文庫
栗本薫(1953-2009)の『時の石』を読了しました。ミステリーからSF小説、伝奇作品に至るまで幅広いジャンルで旺盛な創作を誇る作者のSF短編集です。表題作である「時の石」は不思議な力を備えた石の存在を巡る小説で、痛みを伴った青春の重みが読者の胸にも迫る名作だと思います。残る収録作品である「黴」と「BURN」は、それぞれ前ディストピア小説とディストピア小説のプロローグともいうべき小品なのですが、異なるタッチの作品ながら一つの作品集としてまとまりを感じさせられるのは不思議です。
【満足度】★★★☆☆