文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ナディン・ゴーディマ『この道を行く人なしに』

ナディン・ゴーディマ 福島富士男訳

『この道を行く人なしに』 みすず書房

 

ナディン・ゴーディマの『この道を行く人なしに』を読了しました。ゴーディマの作品を読むのは、長編作品としては『バーガーの娘』以来のこととなります。訳者が解説で述べているように、アパルトヘイトをはじめとした南アフリカの歴史に必然的に対峙せざるを得なかった作家の「プロテスト」というイメージからは幾分自由になったところで著されたのが本書で、主人公ヴェラの姿が生き生きとした筆致で描かれています。

 

以前にアンソロジーで読んだ短編作品「この国の六フィート」にはとても感心させられたことをよく覚えているのですが、そのときと同様に、ゴーディマの醸し出す独特のユーモアがこの作品の魅力となっているように思います。

 

【満足度】★★★