レイチェル・クシュナー 池田真紀子訳
レイチェル・クシュナーの『終身刑の女』を読了しました。ブッカー賞最終候補作という触れ込みもあって手に取ることとなりましたが、どちらかというとエンターテインメント系の作品を出しているレーベルからの出版ということもあって、それがなければ目に留まることがなかったかもしれません。作者はロサンゼルス在住の作家で本書が第三作目にあたる小説とのことです。原題は“The Mars Room”で、固有名詞として作品中に頻出します。
主人公の直面する静かな絶望や哀切なラストシーンが印象的なのですが、作品全体を通して、社会やシステムといったものの端っこにある存在の無力さがじわじわと伝わってくるような小説でもあります。
【満足度】★★★☆☆