文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

コクトー『恐るべき子供たち』

コクトー 中条省平・中条志穂訳

恐るべき子供たち』 光文社古典新訳文庫

 

ジャン・コクトー(1889-1963)の『恐るべき子供たち』を読了しました。フランスの詩人であり作家であるコクトーの書いた「アンファン・テリブル」は、中学生か高校生の頃だったか、角川文庫の翻訳で読んだ記憶があるのですが、今回はそれ以来の読み直しということになりました。

 

冒頭に出てくる雪合戦のシーンが印象的で、その後のストーリー展開についてはまったく覚えていなかったのですが、エリザベートとポールという姉弟をめぐる物語は、すべてが作者の詩心に奉仕するかのようにひとつの結末に向けて進んでいくもので、当時の私にはよく理解が及ばなかったのもうなずけます。それでは今はそのストーリーラインや暗喩に共感できるかといえば、決してそんなこともないのですが。

 

【満足度】★★★☆☆