文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

法月綸太郎『雪密室』

法月綸太郎 『雪密室』 講談社文庫 法月綸太郎の『雪密室』を読了しました。最近になって新装版が刊行されていたような気がしますが、本書はオリジナルの古い文庫本です。今回読み返してみて、あらためてミステリーとしてのまとまりの良さが感じられました。…

森博嗣『数奇にして模型』

森博嗣 『数奇にして模型』 講談社文庫 森博嗣の『数奇にして模型』を読了しました。長大な作品で、内容としては果たしてここまで長くする必要があったのかなとも感じられてしまうのですが、もしかするとそれも作者の狙いのひとつなのかもしれません。有栖川…

宗田理『ぼくらのC計画』

宗田理 『ぼくらのC計画』 角川文庫 宗田理の『ぼくらのC計画』を読了しました。シリーズらしい展開もあって楽しく読むことができます。子どもだけではなく大人も含めて、登場人物たちの成長、あるいは変化を感じられる作品でもあります。 【満足度】★★★☆☆

島田荘司『Classical Fantasy Within 第二話 怪力光線砲』

島田荘司 『Classical Fantasy Within 第二話 怪力光線砲』 講談社 島田荘司の『Classical Fantasy Within 第二話 怪力光線砲』を読了しました。大河ノベルの第二巻ということで、それのみを取り上げて感想を述べることにもためらいを覚えてしまいます。読み…

法月綸太郎『謎解きが終わったら 法月綸太郎ミステリー論集』

法月綸太郎 『謎解きが終わったら 法月綸太郎ミステリー論集』 講談社文庫 法月綸太郎の『謎解きが終わったら 法月綸太郎ミステリー論集』を読了しました。ミステリーの実作家としてだけではなく、評論家としても確固たる地位を築いた感のある現在の作者です…

吉村達也『ニュートンの密室』

吉村達也 『ニュートンの密室』 講談社文庫 吉村達也の『ニュートンの密室』を読了しました。密室が作られるにはそれなりの理由が必要であるという、今となってはいささか当たり前であるミステリー作品における自己言及が主題に据えられています。主題化とい…

二階堂黎人『地獄の奇術師』

二階堂黎人 『地獄の奇術師』 講談社文庫 二階堂黎人の『地獄の奇術師』を読了しました。二回目の読書です。もともと重厚長大な小説も、古きよき探偵小説も好きな口ではあるのですが、島田荘司氏による解説が逆説的に響くような感じもして、少し複雑な気分に…

円居挽『京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道』

円居挽 『京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道』 角川文庫 円居挽の『京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道』を読了しました。前作に引き続いて一気に読み通すこととなりました。本書は完全な初読となります。キャラクター小説としてもうまく書けて…

円居挽『京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ』

円居挽 『京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ』 角川文庫 円居挽の『京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ』を読了しました。以前にハードカバーで刊行されたときに読んだことがあるのですが、タイトルが変更され文庫として出版された本書…

グレイス・ペイリー『その日の後刻に』

グレイス・ペイリー 村上春樹訳 『その日の後刻に』 文春文庫 グレイス・ペイリー(1922-2007)の『その日の後刻に』を読了しました。生涯で三冊の作品集しか残していない作者の最後の作品集で、巻末にはエッセイやインタビューも収録されています。骨太の小…

島田荘司『Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」』

島田荘司 『Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」』 講談社 島田荘司の『Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」』を読了しました。華々しく世に披露された大河小説も最終的には尻すぼみに終わってしまったというその後…

吉村達也『ピタゴラスの時刻表』

吉村達也 『ピタゴラスの時刻表』 講談社文庫 吉村達也の『ピタゴラスの時刻表』を読了しました。ストレートなミステリー作品であるというよりは、正統派のミステリーから一歩外れたところに面白さを見出そうとする小説です。いわゆる「変格」推理小説という…

赤川次郎『ビッグボートα』

赤川次郎 『ビッグボートα』 光文社文庫 赤川次郎の『ビッグボートα』を読了しました。子どもの頃に読んでいたく感動した覚えのある作品で、久し振りの再読となりました。いわゆる思い出補正もありながらも、昔と変わらず面白く読み終えることができました。…

吉村達也『ついてくる』

吉村達也 『ついてくる』 角川ホラー文庫 吉村達也の『ついてくる』を読了しました。著者渾身の力作であることがうかがえる大部の作品なのですが、少しまとまりのなさが感じられてしまいました。意外性のあるホラー作品というべきか、変わった読み心地の作品…

宮部みゆき『パーフェクト・ブルー』

宮部みゆき 『パーフェクト・ブルー』 創元推理文庫 宮部みゆきの『パーフェクト・ブルー』を読了しました。かつて読んだことがあるはずの作品ではあるのですが、完全に記憶から滑り落ちてしまっていて、まるで初めて読むかのような読書となりました。語り手…

有栖川有栖『英国庭園の謎』

有栖川有栖 『英国庭園の謎』 講談社文庫 有栖川有栖の『英国庭園の謎』を読了しました。安心の面白さというか水準の高いミステリーを楽しむことができる短編集です。同時に物足りなさも感じられてしまうのですが、それはこの読書体験と裏腹のものでもあると…

宗田理『ぼくらの危バイト作戦』

宗田理 『ぼくらの危バイト作戦』 角川文庫 宗田理の『ぼくらの危バイト作戦』を読了しました。シリーズ五作品目ともなると、ある程度はその様式のようなものも定まってきていて、読者は安定した読書体験を味わうことができます。 【満足度】★★★☆☆

我孫子武丸『メビウスの殺人』

我孫子武丸 『メビウスの殺人』 講談社文庫 我孫子武丸の『メビウスの殺人』を読了しました。デビュー作から続くシリーズ作品の三作目ですが、その後、本シリーズの続編が書かれていないところを見ると、既に作者の中では完結したシリーズとなっているのかも…

吉村達也『ゴーストライター』

吉村達也 『ゴーストライター』 角川文庫 吉村達也の『ゴーストライター』を読了しました。初期の作品ではあるのですが、同時期のその他の作品と比較して解像度が高いというか、くっきりとした印象の残る作品です。トリックと物語の連動性など、ミステリーと…