文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『ベストストーリーズⅢ カボチャ頭』

若島正編 『ベストストーリーズⅢ カボチャ頭』 早川書房 雑誌『ニューヨーカー』に掲載された短編小説をはじめとする作品について未訳のものを中心にアンソロジーとしてまとめた『ベストストーリーズ』の第三巻を読了しました。本書に収録された作品が発表さ…

アリス・マンロー『イラクサ』

アリス・マンロー 小竹由美子訳 『イラクサ』 新潮社 アリス・マンロー(1931-)の『イラクサ』を読了しました。アリス・マンローは2013年にノーベル文学賞を受賞したカナダの作家で、短編の名手として知られています。その読後感は“一冊の長編小説を読んだ…

パース『連続性の哲学』

パース 伊藤邦武編訳 『連続性の哲学』 岩波文庫 チャールズ・サンダース・パース(1839-1914)の『連続性の哲学』を読了しました。このブログは基本的に外国文学の読書記録なのですが、読んだ本の記録は付けておくという方針のもとで哲学関連の本についても…

トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』

トーマス・マン 望月市恵訳 『ブッデンブローク家の人びと』 岩波文庫 トーマス・マン(1875-1955)の『ブッデンブローク家の人びと』を読了しました。本書はノーベル賞作家でもある文豪トーマス・マンの処女長編作品で1901年に完成しました。私は大学時代に…

カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』

カズオ・イシグロ 入江真佐子訳 『わたしたちが孤児だったころ』 ハヤカワ文庫 カズオ・イシグロ(1954-)の『わたしたちが孤児だったころ』を読了しました。本作は2000年に発表されたカズオ・イシグロの長編第五作目です。作品の外形的な特徴が毎作変化する…

ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』

ヘンリー・ジェイムズ 小川高義訳 『ねじの回転』 新潮文庫 ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916)の『ねじの回転』を読了しました。神秘主義思想家スウェーデンボルグを信奉する父のもと裕福な家庭で育ったヘンリー・ジェイムズは、子どもの頃から生誕地である…

スタインベック『怒りの葡萄』

スタインベック 伏見威蕃訳 『怒りの葡萄』 新潮文庫 スタインベック(1902-1968)の『怒りの葡萄』を読了しました。ドイツ系移民の祖父を持つスタインベック(ドイツ語読みをすれば「シュタインベック」でしょうか)は、カリフォルニア州サリナスに生まれ、…

クヌート・ハムスン『ヴィクトリア』

クヌート・ハムスン 冨原眞弓訳 『ヴィクトリア』 岩波文庫 クヌート・ハムスン(1859-1952)の『ヴィクトリア』を読了しました。クヌート・ハムスンはノルウェーの小説家で、本書のカバーに記された短い紹介文では「モダニズム文学の先駆者」であるとされて…

フリードリヒ・W・ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』

フリードリヒ・W・ニーチェ 佐々木中訳 『ツァラトゥストラかく語りき』 河出文庫 フリードリヒ・W・ニーチェ(1844-1900)の『ツァラトゥストラかく語りき』を読了しました。本書は海外文学というよりは哲学書の範疇に入れるべき書物。19世紀末に活躍し、20…

チャールズ・ブコウスキー『町でいちばんの美女』

チャールズ・ブコウスキー 青野聰訳 『町でいちばんの美女』 新潮文庫 チャールズ・ブコウスキー(1920-1994)の『町でいちばんの美女』を読了しました。ブコウスキーの本を読むのは『パルプ』に続いて二冊目です。ブコウスキーはアメリカ人兵士である父とド…

『ベストストーリーズⅡ 蛇の靴』

若島正編 『ベストストーリーズⅡ 蛇の靴』 早川書房 雑誌『ニューヨーカー』に掲載された短編小説をはじめとする作品について未訳のものを中心にアンソロジーとしてまとめた『ベストストーリーズ』。1960年代から1980年代までの作品が収録された第二巻を読了…

ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』

ジュノ・ディアス 都甲幸治・久保尚美訳 『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』 新潮社 ジュノ・ディアス(1968-)の『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』を読了しました。作者のジュノ・ディアスはドミニカ共和国に生まれ、6歳のときに家族でアメリカに渡…

ドン・デリーロ『コズモポリス』

ドン・デリーロ 上岡伸雄訳 『コズモポリス』 新潮文庫 ドン・デリーロ(1936-)の『コズモポリス』を読了しました。ドン・デリーロは現代アメリカを代表する作家のひとりで、ノーベル文学賞候補とも目されています。本書は2003年に発表された作品で、文学界…

フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』

フランソワーズ・サガン 河野万里子訳 『悲しみよ こんにちは』 新潮文庫 フランソワーズ・サガン(1935-2004)の『悲しみよ こんにちは』を読了しました。高校時代に読んだ記憶があるのですが、今回は新訳での読み直し。多くの人に影響を与えた作品だと思い…

T・S・エリオット『荒地』

T・S・エリオット 岩崎宗治訳 『荒地』 岩波文庫 T・S・エリオット(1888-1965)の『荒地』を読了しました。しかし、これを読了といってもよいのかどうか、いささか疑問が残る状況ではあります。正直なところ、一度読んだだけでは、まるで何が書いてあるのか…