ドイツ・オーストリア文学
ホフマンスタール 檜山哲彦訳 『チャンドス卿の手紙 他十篇』 岩波文庫 ホフマンスタール(1874-1929)の『チャンドス卿の手紙 他十篇』を読了しました。世紀末ウィーンを代表する作家のひとりですが、私自身についていえば今回が初めての読書となります。19…
ヘッセ 酒寄進一訳 『デーミアン』 光文社古典新訳文庫 ヘッセ(1877-1962)の『デーミアン』を読了しました。学生時代に岩波文庫で読んだときの訳題の表記は『デミアン』だったと思うのですが、こちらの方が原語の発音に近いということなのでしょうか。1919…
中村朝子訳 『パウル・ツェラン全詩集Ⅲ』 青土社 『パウル・ツェラン全詩集Ⅲ』を読了しました。本書の内容については、巻末の訳者あとがきの中で次のように述べられています。 この訳詩集の底本には、全五巻からなる、現在刊行されている唯一のパウル・ツェ…
ゲーテ 山崎章甫訳 『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』 岩波文庫 ゲーテ(1749-1832)の『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を読了しました。ドイツの教養小説(Bildungsroman)の古典作品として知られる本書ですが、これまでは手に取る機会がなく…
ヘルマン・ヘッセ 高橋健二訳 『ヘッセ詩集』 新潮文庫 ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の『ヘッセ詩集』を読了しました。「詩人になる」ことへの若者の切望と苦悩を多くの小説のかたちで描いたヘッセですが、本書にはそのヘッセが1898年から1945年頃にかけて…
グラス 池内紀訳 『ブリキの太鼓』 河出書房新社 ギュンター・グラス(1927-2015)の『ブリキの太鼓』を読了しました。1959年に発表されたグラスの第一作目の小説であり、彼の代表作でもある作品です。学生時代に集英社文庫の高本研一氏の翻訳で読んだことが…
シュテファン・ツワイク 高橋禎二・秋山英夫訳 『ジョゼフ・フーシェ』 岩波文庫 シュテファン・ツワイク(1881-1942)の『ジョゼフ・フーシェ』を読了しました。著者の名前は「ツヴァイク」という表記の方が一般的ではないかと思います。伝記作家としてよく…
エルフリーデ・イェリネク 中込啓子・須永恆雄・岡本和子訳 『死者の子供たち』 鳥影社 エルフリーデ・イェリネク(1946-)の『死者の子供たち』を読了しました。オーストリアの小説家・劇作家で2004年のノーベル賞受賞作家です。本書は1995年に発表された著…
ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ 松永美穂訳 『ヴォルテール、ただいま参上!』 新潮社 ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ(1935-)の『ヴォルテール、ただいま参上!』を読了しました。旧東ドイツ出身の作家であるシェートリヒの歴史小説作品です。フランスの思…
中村朝子訳 『パウル・ツェラン全詩集Ⅱ』 青土社 『パウル・ツェラン全詩集Ⅱ』を読了しました。本書にはパウル・ツェラン(1920-1970)の著した以下の詩集が収録されています。 『息の転換(Atemwende)』,1967 『糸の太陽たち(Fadensonnen)』,1968 『光輝…
シュトルム 関泰祐訳 『大学時代・広場のほとり 他四篇』 岩波文庫 シュトルム(1817-1888)の『大学時代・広場のほとり 他四篇』を読了しました。表題先のほか「おもかげ」「一ひらの緑の葉」「アンゲーリカ」「レナ・ヴィーナス」の四作品が収録されていま…
トーマス・マン 岸美光訳 『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』 光文社古典新訳文庫 トーマス・マン(1875-1955)の『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』を読了しました。世界各国はもとより、マンの作品は日本でもよく読まれていると思うのですが、本作品…
アーダベルト・シュティフター 磯崎康太郎編訳 『書き込みのある樅の木』 松籟社 アーダベルト・シュティフター(1805-1868)の『書き込みのある樅の木』を読了しました。松籟社から出版されている「シュティフター・コレクション」の4巻目です。本書には標…
中村朝子訳 『パウル・ツェラン全詩集 Ⅰ』 青土社 『パウル・ツェラン全詩集 Ⅰ』を読了しました。パウル・ツェラン(1920-1970)はドイツ系ユダヤ人の詩人の詩人で、両親はナチスにより強制収用所で死を迎え、パウル・ツェラン自身も強制労働に従事させられ…
A・グリーン/G・トマージ・ディ・ランペドゥーサほか 岩本和久/小林惺ほか訳 『短編コレクションⅡ』 河出書房新社 池澤夏樹氏による個人編集の世界文学全集から『短編コレクションⅡ』を読了しました。本書にはヨーロッパ・北米の作家19人の短編が収録され…
マルティン・ヴァルザー 内藤道雄訳 『逃亡する馬』 同学社 マルティン・ヴァルザー(1927-)の『逃亡する馬』を読了しました。「新しいドイツの文学」シリーズと銘打たれた叢書の一冊ですが、1988年の初版発行ということで、21世紀を迎えた現在の地点から見…
ヘルマン・ヘッセ 井出賁夫訳 『ガラス球遊戯』 角川文庫 ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の『ガラス球遊戯』を読了しました。本書はヘッセがノーベル文学賞を受賞する契機となったといわれている作品のようで、1943年に発表されたものです。『荒野のおおかみ…
アーダベルト・シュティフター 松村國隆訳 『森ゆく人』 松籟社 アーダベルト・シュティフター(1805-1868)の『森ゆく人』を読了しました。本書は「シュティフター・コレクション」として刊行された叢書の第3巻で、表題作である「森ゆく人」と短い掌編であ…
ペーター・ハントケ 羽白幸雄訳 『不安 ペナルティキックを受けるゴールキーパーの…』 三修社 ペーター・ハントケの『不安 ペナルティキックを受けるゴールキーパーの…』を読了しました。2019年のノーベル文学賞受賞者であるペーター・ハントケが1970年に発…
シュテファン・ツヴァイク 中野京子訳 『マリー・アントワネット』 角川文庫 シュテファン・ツヴァイク(1881-1942)の『マリー・アントワネット』を読了しました。不確かな記憶なのですが、子どもの頃に読んだ赤川次郎さんのエッセイで「シュテファン・ツヴ…
シュトルム 国松孝二訳 『美しき誘い 他一篇』 岩波文庫 テオドール・シュトルム(1817-1888)の『美しき誘い 他一篇』を読了しました。現在はデンマーク領である北ドイツ地方に生まれたシュトルムは、法律家であり、詩人・作家でもあります。本書は表題作の…
W・G・ゼーバルト 鈴木仁子訳 『アウステルリッツ』 白水社 W・G・ゼーバルト(1944-2001)の『アウステルリッツ』を読了しました。ずっと読んでみたいと思っていた作品なのですが、このたび新装版が刊行されることになり、嬉しい限りです。 本書の内容をか…
ローベルト・ゼーターラー 浅井晶子訳 『ある一生』 新潮社 ローベルト・ゼーターラー(1966-)の『ある一生』を読了しました。オーストリアの作家・脚本家・俳優であるというローベルト・ゼーターラーが2014年に発表した本書は、ドイツ語圏で80万部を記録す…
ヘルマン・ヘッセ 高橋健二訳 『荒野のおおかみ』 新潮文庫 ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の『荒野のおおかみ』を読了しました。ヘッセの作品は読むのは随分と久しぶりのことです。『車輪の下』や『春の嵐』など、青春に付きまとう繊細な感情を謳いあげた作…
ペーター・ハントケ 元吉瑞枝訳 『幸せではないが、もういい』 同学社 ペーター・ハントケ(1942-)の『幸せではないが、もういい』を読了しました。2019年のノーベル文学賞受賞者となったハントケですが、その著作の邦訳書はあまり流通していないのが現状で…
F. ヴェデキント 酒寄進一訳 『春のめざめ』 岩波文庫 F. ヴェデキント(1864-1918)の『春のめざめ』を読了しました。本書はドイツのハノーファーに生まれた劇作家ヴェデキント(父親がアメリカで長く暮らしていた関係でヴェデキントはドイツに生まれながら…
エッカーマン 山下肇訳 『ゲーテとの対話』 岩波文庫 エッカーマン(1792-1854)の『ゲーテとの対話』を読了しました。ドイツの若き詩人であるヨハン・ペーター・エッカーマンが文豪ゲーテと出会い、彼の良き使徒としてゲーテとの間に交わされた「対話」を著…
ベルンハルト・シュリンク 松永美穂訳 『朗読者』 新潮文庫 ベルンハルト・シュリンク(1944-)の『朗読者』を読了しました。最初に本書を読んだのは新潮クレストブックスから刊行された2000年のことなので、およそ19年ぶりの読書ということになりました。当…
カロッサ 国松孝二訳 『指導と信従』 岩波文庫 カロッサ(1878-1956)の『指導と信従』を読了しました。ハンス・カロッサはドイツの詩人・小説家で医者でもあります。小説作品には自伝的なものが多く、本書も幼年時代から、医師としての生活、そしてシュテフ…
トーマス・マン 平野卿子訳 『トーニオ・クレーガー』 河出文庫 トーマス・マン(1875-1955)の『トーニオ・クレーガー 他一篇』を読了しました。本作は高校時代に読んだような記憶があるのですが、あまり確かなところは覚えていません。大学時代にもたしか…