文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

セス・フリード『大いなる不満』

セス・フリード 藤井光訳 『大いなる不満』 新潮社 セス・フリードの『大いなる不満』を読了しました。1983年生まれという若いアメリカの才能による短編集です。寓話的な筋立てから浮かび上がる人間の欲望に魅せられます。一気に読まされてしまいました。 【…

ニコライ・ゴーゴリ『死せる魂』

ニコライ・ゴーゴリ 東海晃久訳 『死せる魂』 河出書房新社 ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)の『死せる魂』を読了しました。死せる魂、すなわち死んでしまった農奴たちの名義を買い集めることで地主になろうと画策するチーチコフという男の物語です。本書は…

ロブ=グリエ『消しゴム』

ロブ=グリエ 中条省平訳 『消しゴム』 光文社古典新訳文庫 ロブ=グリエ(1922-2008)の『消しゴム』を読了しました。戦後フランスの文学運動「ヌーヴォー・ロマン」の旗手であるロブ=グリエの初長編作品です。丁寧な訳者解説と相まって、ヌーヴォー・ロマン…

カート・ヴォネガット『青ひげ』

カート・ヴォネガット 浅倉久志訳 『青ひげ』 ハヤカワ文庫 カート・ヴォネガット(1922-2007)の『青ひげ』を読了しました。初期の長編作品は大学時代に続けて読んだことがあって、『タイタンの妖女』にはいたく感動させられたのを覚えているのですが、ヴォ…

レベッカ・ブラウン『私たちがやったこと』

レベッカ・ブラウン 柴田元幸訳 『私たちがやったこと』 新潮文庫 レベッカ・ブラウンの『私たちがやったこと』を読了しました。以前に読んだ『体の贈り物』がエイズ患者の世話をするケアワーカーの視点から人々の生き様を描く作品であったのに対して、本書…

赤川次郎『黒い森の記憶』

赤川次郎 『黒い森の記憶』 角川文庫 赤川次郎の『黒い森の記憶』を読了しました。北のほうにドライブしたときにふらっと立ち寄った古本屋で80円で購入。赤川さんの本は中学校の頃にかなりの数を読んだのですが、印象に残っていてずっと読み返したいと思って…