文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-07-20から1日間の記事一覧

グレイス・ペイリー『その日の後刻に』

グレイス・ペイリー 村上春樹訳 『その日の後刻に』 文春文庫 グレイス・ペイリー(1922-2007)の『その日の後刻に』を読了しました。生涯で三冊の作品集しか残していない作者の最後の作品集で、巻末にはエッセイやインタビューも収録されています。骨太の小…

島田荘司『Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」』

島田荘司 『Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」』 講談社 島田荘司の『Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」』を読了しました。華々しく世に披露された大河小説も最終的には尻すぼみに終わってしまったというその後…

吉村達也『ピタゴラスの時刻表』

吉村達也 『ピタゴラスの時刻表』 講談社文庫 吉村達也の『ピタゴラスの時刻表』を読了しました。ストレートなミステリー作品であるというよりは、正統派のミステリーから一歩外れたところに面白さを見出そうとする小説です。いわゆる「変格」推理小説という…

赤川次郎『ビッグボートα』

赤川次郎 『ビッグボートα』 光文社文庫 赤川次郎の『ビッグボートα』を読了しました。子どもの頃に読んでいたく感動した覚えのある作品で、久し振りの再読となりました。いわゆる思い出補正もありながらも、昔と変わらず面白く読み終えることができました。…

吉村達也『ついてくる』

吉村達也 『ついてくる』 角川ホラー文庫 吉村達也の『ついてくる』を読了しました。著者渾身の力作であることがうかがえる大部の作品なのですが、少しまとまりのなさが感じられてしまいました。意外性のあるホラー作品というべきか、変わった読み心地の作品…

宮部みゆき『パーフェクト・ブルー』

宮部みゆき 『パーフェクト・ブルー』 創元推理文庫 宮部みゆきの『パーフェクト・ブルー』を読了しました。かつて読んだことがあるはずの作品ではあるのですが、完全に記憶から滑り落ちてしまっていて、まるで初めて読むかのような読書となりました。語り手…

有栖川有栖『英国庭園の謎』

有栖川有栖 『英国庭園の謎』 講談社文庫 有栖川有栖の『英国庭園の謎』を読了しました。安心の面白さというか水準の高いミステリーを楽しむことができる短編集です。同時に物足りなさも感じられてしまうのですが、それはこの読書体験と裏腹のものでもあると…

宗田理『ぼくらの危バイト作戦』

宗田理 『ぼくらの危バイト作戦』 角川文庫 宗田理の『ぼくらの危バイト作戦』を読了しました。シリーズ五作品目ともなると、ある程度はその様式のようなものも定まってきていて、読者は安定した読書体験を味わうことができます。 【満足度】★★★☆☆

我孫子武丸『メビウスの殺人』

我孫子武丸 『メビウスの殺人』 講談社文庫 我孫子武丸の『メビウスの殺人』を読了しました。デビュー作から続くシリーズ作品の三作目ですが、その後、本シリーズの続編が書かれていないところを見ると、既に作者の中では完結したシリーズとなっているのかも…

吉村達也『ゴーストライター』

吉村達也 『ゴーストライター』 角川文庫 吉村達也の『ゴーストライター』を読了しました。初期の作品ではあるのですが、同時期のその他の作品と比較して解像度が高いというか、くっきりとした印象の残る作品です。トリックと物語の連動性など、ミステリーと…