ジョゼ・サラマーゴ 黒木三世訳
『見知らぬ島への扉』 アーティストハウス
ジョゼ・サラマーゴ(1922-2010)の『見知らぬ島への扉』を読了しました。ジョゼ・サラマーゴは1998年にノーベル文学賞を受賞したポルトガルの作家で、本書が日本で出版されたのは2001年のこと。翻訳の底本はポルトガル語の原書ではなく英訳のようですね。英語の原題は「The Tale of the Unknown Island」です。
本書はかなり短い作品で、見知らぬ島を探すために王様に船をもらえないかと願い出た男と、その男と一緒に見知らぬ島を探す旅に出ることを決意した女の物語です。この短い寓話を解釈するためのエピソードやセリフはいくつもあって、読者がそれぞれの理解でこの作品を楽しむことができるようになっていますが、それが自己啓発書にあるようなキャッチコピーに堕してしまうと途端につまらないものになってしまうように思われます。
無垢なチャレンジ精神がいつの間にか男女の機微の問題に絡めとられてしまっているところなど、おもしろく感じられた部分もあったのですが。次はジョゼ・サラマーゴの長編小説を読んでみたいですね。
【満足度】★★★☆☆