文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

沼田真佑『影裏』

沼田真佑

『影裏』 文藝春秋

 

沼田真佑の『影裏』を読了しました。第157回の芥川賞受賞作で、多面的な読みを許容する小説です。釣りの描写の瑞々しさも心地よいですし、性的なマイノリティーの抱える葛藤が描かれていると受け取ることもできるのでしょう。不穏なところに落ち込んでいく同僚の姿に対して抱く主人公の心持ちは、正直なところ私にはよく解らなかったのですが、作者が小説として取り出してみせたこのものには、たしかに心を動かされるものがあるような気がします。

 

【満足度】★★★★☆