2023-01-24 吉村達也『「戸隠の愛」殺人事件』 日本文学 吉村達也 『「戸隠の愛」殺人事件』 徳間文庫 吉村達也の『「戸隠の愛」殺人事件』を読了しました。ノベルスとして刊行された当時は詰め将棋がメインのモチーフとして作品の前面に出ていたようなのですが、改稿にあたってはそれが背景に押し出されてしまったため、作品全体の印象はやや散漫なものになっているような気がします。しかし、ミステリーとしては丹精な出来栄えで、読ませるロジックになっています。 【満足度】★★★☆☆
2023-01-24 赤川次郎『悪妻に捧げるレクイエム』 日本文学 赤川次郎 『悪妻に捧げるレクイエム』 角川文庫 赤川次郎の『悪妻に捧げるレクイエム』を読了しました。小説を共同執筆を主題として、その4名の共同執筆者がそれぞれの個性・文体のもとで描いた作中作小説が展開されるというストーリーは、初めて読んだときはいたく感心させられたものでした。その感想は今回の再読においても変わらないのですが、その手筋については、やや物足りなさも覚えてしまいました。 【満足度】★★★☆☆
2023-01-24 吉村達也『初恋』 日本文学 吉村達也 『初恋』 角川ホラー文庫 吉村達也の『初恋』を読了しました。本書はおそらく作者が発表した最初のホラー作品ということになるのだと思いますが、今回読み返してみるとすっかりコメディ作品のように感じられました。現代の視点から見ると、主人公である男性に潜んでいる男性優位の思想が前面に浮き出ていて、以前に読んだときとはまったく違った読後感を覚えることになるのでした。 【満足度】★★★☆☆
2023-01-19 赤川次郎『東西南北殺人事件』 日本文学 赤川次郎 『東西南北殺人事件』 講談社文庫 赤川次郎の『東西南北殺人事件』を読了しました。アンチヒーローたる探偵役を主人公に据えて繰り広げられるミステリー作品で、作者の生み出した人気シリーズのひとつです。その第一作目に当たるのが本書なのですが。以前には面白く読むことができたと記憶している本書なのですが、今回あらためて読み返してみると、何とも散漫な印象を受けてしまいました。ミステリーのプロットというよりは、主人公の破天荒な行動をはじめとするスラップスティックを楽しむべき作品なのですが、そのノリが私自身にうまく嵌らなくなってしまっているのかもしれません。 【満足度】★★☆☆☆
2023-01-19 吉村達也『「伊豆の瞳」殺人事件』 日本文学 吉村達也 『「伊豆の瞳」殺人事件』 徳間文庫 吉村達也の『「伊豆の瞳」殺人事件』を読了しました。作者が創造した「名探偵」のうち、最も登場作品数が多いと思われる朝比奈耕作を主人公とするシリーズの第一作目に当たるのが本書です。とはいえ、本書は文庫化にあたって、犯人の変更をも含めた全面改稿が行われているとのこと。事件の「トリック」の内容には推理小説を読み慣れた多くの人が気付くのだと思いますが、その見せ方というか役割には多少ひねりがあって、作者のこだわりが感じられます。 【満足度】★★★☆☆
2023-01-19 吉村達也『時の森殺人事件６』 日本文学 吉村達也 『時の森殺人事件６』 中公文庫 吉村達也の『時の森殺人事件６』を読了しました。長かった物語もいよいよ終末を迎えます。ただ、本書よりもずっと長大なミステリー作品がその後次々に登場したことを知っている今となっては、あまり本書の長さというものを語ることには意味がないような気がします。処理の仕方がこなれていない伏線の回収などもあったと思うのですが、それでも力業でまとめきったという印象のエンディングです。いずれにしても、初読時のことが絶えず懐かしく思い出されて、楽しいひと時を過ごすことができました。 【満足度】★★★☆☆
2023-01-19 吉村達也『時の森殺人事件５』 日本文学 吉村達也 『時の森殺人事件５』 中公文庫 吉村達也の『時の森殺人事件５』を読了しました。大きく広がっていく物語の構想は、コンパクトにまとまったミステリー作品を期待する人にとっては不評なのかもしれませんが、今ならばその狙いも含めて面白く感じられます。ここで設定されている事件の「動機」は極めて現代的だとすら思いますし、むしろ現在の地点から本書を読むとピンと来ない部分もあるのかもしれません。今の若い人が本書を読んでどのように感じるのかは気になるところではあります。 【満足度】★★★☆☆
