文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-06-29から1日間の記事一覧

J・アップダイク『さようならウサギ』

J・アップダイク 井上謙治訳 『さようならウサギ』 新潮社 J・アップダイク(1932-2009)の『さようならウサギ』を読了しました。「ウサギ」ことハリー・アングストロームの人生を綴った大河小説の掉尾を飾る作品です。作者自身が(途中から「メガノベル」と…

島田荘司『羽衣伝説の記憶』

島田荘司 『羽衣伝説の記憶』 光文社文庫 島田荘司の『羽衣伝説の記憶』を読了しました。一冊のミステリー作品として楽しむこともできるのですが、それよりは主人公である吉敷竹史とその元妻である加納通子を巡る一連の大河ドラマのひとつの断片として捉える…

吉村達也『Kの悲劇』

吉村達也 『Kの悲劇』 徳間文庫 吉村達也の『Kの悲劇』を読了しました。作者のデビュー作であり、ケネディ大統領暗殺という世界史に残る事件をモチーフにした国際謀略ミステリーと謳われる作品です。主要登場人物の造形に何とも納得しがたい部分があって、す…

歌野晶午『ガラス張りの誘拐』

歌野晶午 『ガラス張りの誘拐』 角川文庫 歌野晶午の『ガラス張りの誘拐』を読了しました。かつて読んだことのある作品であったか、あるいは初読なのか、それすら定かではないままに読み進めていました。面白く読むことはできましたが、おそらく数年後にはま…

宗田理『ぼくらのデスマッチ 殺人狂がやって来た』

宗田理 『ぼくらのデスマッチ 殺人狂がやって来た』 角川文庫 宗田理の『ぼくらのデスマッチ 殺人狂がやって来た』を読了しました。「ぼくら」シリーズ第四作目にあたる作品で、何となくシリーズの作風が固まってきたのも本作くらいからのような気がします。…

法月綸太郎『密閉教室』

法月綸太郎 『密閉教室』 講談社文庫 法月綸太郎の『密閉教室』を読了しました。作者のデビュー作であり、若書きの印象も否めない作品ではあるのですが、それゆえに魅力を持ったミステリー作品です。作者自身が意識している以上にその若さの部分が前面に出て…

綾辻行人『Another エピソードS』

綾辻行人 『Another エピソードS』 角川文庫 綾辻行人の『Another エピソードS』を読了しました。前作の『Another』に引き続いての読書で、これで最近文庫化されたシリーズ最新作を読む準備が整いました。本作も小技の効いた作品で十分に楽しむことができま…

綾辻行人『Another』

綾辻行人 『Another』 角川文庫 綾辻行人の『Another』を読了しました。ハードカバーが刊行された当時に読んだ作品ではあるのですが、その時は(おそらく当時の外的な環境のせいだと思いますが)あまり読書に集中できなかった記憶があって、ストーリー展開は…