文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-10-18から1日間の記事一覧

ラルフ・エリスン『見えない人間』

ラルフ・エリスン 松本昇訳 『見えない人間』 白水Uブックス ラルフ・エリスン(1914-1994)の『見えない人間』を読了しました。「全米図書賞を受賞した黒人文学の金字塔」というと、作品に対するいささかステレオタイプなイメージを生んでしまいそうですが…

有栖川有栖『朱色の研究』

有栖川有栖 『朱色の研究』 角川文庫 有栖川有栖の『朱色の研究』を読了しました。作者のミステリーの中でも個人的に特に印象に残っている作品の一つです。物語の展開に工夫があって飽きることなく読み進められるのですが、後半の捜査パートに至って少しダレ…

吉村達也『感染列島 パンデミック・デイズ』

吉村達也 『感染列島 パンデミック・デイズ』 小学館文庫 吉村達也の『感染列島 パンデミック・デイズ』を読了しました。未曾有のパンデミックを体験することとなった現在から見るといささか示唆的なテーマが取り扱われていますが、本書が発表されたのは今か…

赤川次郎『三毛猫ホームズの歌劇場』

赤川次郎 『三毛猫ホームズの歌劇場』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズの歌劇場』を読了しました。ヨーロッパを舞台に展開されるシリーズ長編作品の一作で、本書の舞台になっているのはオーストリアのウィーンです。本格ミステリーへのこだわりの片鱗の…

島田荘司『高山殺人行1/2の女』

島田荘司 『高山殺人行1/2の女』 光文社文庫 島田荘司の『高山殺人行1/2の女』を読了しました。ノンシリーズの作品で読み落としていた作品の一つです。島田氏の多くの著作に触れた現在の視点で読んでみると、たとえば『星籠の海』のプロットの一部にも見られ…

早坂吝『○○○○○○○○殺人事件』

早坂吝 『○○○○○○○○殺人事件』 講談社文庫 早坂吝の『○○○○○○○○殺人事件』を読了しました。第50回メフィスト賞受賞作である本書は、私としては珍しく、ノベルス版が刊行された当時に読んでいたのですが、今回は文庫版での再読となります。細かい記憶はないので…

斜線堂有紀『キネマ探偵カレイドミステリー~再演奇縁のアンコール~』

斜線堂有紀 『キネマ探偵カレイドミステリー~再演奇縁のアンコール~』 メディアワークス文庫 斜線堂有紀の『キネマ探偵カレイドミステリー~再演奇縁のアンコール~』を読了しました。作者の小説を読むのはシリーズ二作目である本書で二冊目となるのですが…

我孫子武丸『人形は遠足で推理する』

我孫子武丸 『人形は遠足で推理する』 講談社文庫 我孫子武丸の『人形は遠足で推理する』を読了しました。バスジャックの人質として取られた安楽椅子探偵が事件を解決するという趣向の作品なのですが、同種の作例はあるのでしょうか。ミステリーの部分でもう…