吉村達也の『感染列島 パンデミック・デイズ』を読了しました。未曾有のパンデミックを体験することとなった現在から見るといささか示唆的なテーマが取り扱われていますが、本書が発表されたのは今から15年前の2008年(文庫版は2009年)です。いささか散らかったテーマ設定と、科学的なのか観念的なのかよく分からないガジェットには、ある意味で中期以降の吉村作品の特徴がよく出ていて、初期の作品が好きな私としては、新たなものを受容しようとする気分の底に、やや残念な気持ちがあるのでした。
【満足度】★★☆☆☆