文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-10-28から1日間の記事一覧

フィッツジェラルド『若者はみな悲しい』

フィッツジェラルド 小川高義訳 『若者はみな悲しい』 光文社古典新訳文庫 フィッツジェラルド(1896-1940)の『若者はみな悲しい』を読了しました。短編集はどうしても「傑作選」ということになりがちなフィッツジェラルドのオリジナルな短編集を読むことが…

大沢在昌『新宿鮫』

大沢在昌 『新宿鮫』 光文社文庫 大沢在昌の『新宿鮫』を読了しました。人気シリーズの原点となる作品で、緊密なプロットでクライマックスに至るまで盛り上がりを欠くことなく読ませます。よくできたハードボイルド作品なのですが、あらためて読み返してみて…

吉村達也『OL捜査網』

吉村達也 『OL捜査網』 光文社文庫 吉村達也の『OL捜査網』を読了しました。「OL」という表現自体が何とも古めかしいものとなってしまった現代にあっては、いささか古さが目立つ部分はあるものの、設定とプロットの面白さで読ませる作品になっています…

貴志祐介『天使の囀り』

貴志祐介 『天使の囀り』 角川ホラー文庫 貴志祐介の『天使の囀り』を読了しました。作者の初期作品といっていい時代の作品なのですが、怖さよりも生理的な嫌悪感の方が上回ってしまって、読み進めるのにいささか苦労してしまいます。登場人物を容赦なく扱っ…

清涼院流水『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.4』

清涼院流水 『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.4』 講談社 清涼院流水の『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.4』を読了しました。ぶつ切りに読み進めてしまうかたちになっているのですが、ストーリー自体はシンプルに進…

吉村達也『トンネル』

吉村達也 『トンネル』 角川ホラー文庫 吉村達也の『トンネル』を読了しました。探偵役の造形もホラー小説としての展開も、とても面白そうでいて、いささか最後は尻すぼみになってしまう部分もあって、何とも中途半端な印象が残ってしまいます。 【満足度】★…

吉村達也『丸の内殺人物語』

吉村達也 『丸の内殺人物語』 角川文庫 吉村達也の『丸の内殺人物語』を読了しました。サラリーマンを主人公としたミステリー短編集で、もともとは『それは経費で落とそう』というタイトルで刊行されていた作品が文庫化にあたって改題されたものです(もとも…

島田荘司『Classical Fantasy Within 第五話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ヒュッレム姫の救出』

島田荘司 『Classical Fantasy Within 第五話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ヒュッレム姫の救出』 講談社 島田荘司の『Classical Fantasy Within 第五話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ヒュッレム姫の救出』を読了しました。ファンタジー作品に挑戦しながらも、ところど…

吉村達也『天井桟敷の貴婦人』

吉村達也 『天井桟敷の貴婦人』 徳間文庫 吉村達也の『天井桟敷の貴婦人』を読了しました。作者にしては珍しい探偵による一人称視点での小説となっていて、新鮮な感覚で読むことができました。このような小説形式が採用されるに至った経緯についてもフィクシ…

マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー『バルコニーの男』

マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー 柳沢由実子訳 『バルコニーの男』 角川文庫 マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールーの『バルコニーの男』を読了しました。刑事マルティン・ベックを主人公とするスウェーデンの警察小説の古典的シリーズの第三作目…

宗田理『怪盗サンクスの冒険』

宗田理 『怪盗サンクスの冒険』 角川文庫 宗田理の『怪盗サンクスの冒険』を読了しました。本書のカバー裏に記された紹介文には「恋とスリルとサスペンスに満ちたおしゃれな都会派ミステリー」とあるのですが、どのあたりの読者層をターゲットにしているのか…

森博嗣『黒猫の三角』

森博嗣 『黒猫の三角』 講談社文庫 森博嗣の『黒猫の三角』を読了しました。ミステリーとしての企みに満ちたシリーズの第一作目で、クセのある登場人物に慣れてしまえば面白く読むことができます。このシリーズはかなり昔に途中まで読み進めて断絶してしまっ…

川端裕人『へんてこな生き物』

川端裕人 『へんてこな生き物』 中公新書ラクレ 川端裕人の『へんてこな生き物』を読了しました。私は作者の小説のファンなのですが、もともとはサイエンスライターとしての著作に触れたことが作者を知る最初のきっかけでした。本書は作者がこれまで興味を持…

島田荘司『見えない女』

島田荘司 『見えない女』 光文社文庫 島田荘司の『見えない女』を読了しました。海外を舞台にしたノンシリーズの短編小説が三篇収録されていて、表紙カバーには「傑作トラベル・ミステリー」というキャッチコピーが付されています。表題作はチェスタトンの「…

川端裕人『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』

川端裕人 『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』 集英社文庫 川端裕人の『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』を読了しました。『銀河のワールドカップ』の前日譚というべき作品なのですが、タイトルから予想されるよりも、…

吉村達也『年下の男』

吉村達也 『年下の男』 集英社文庫 吉村達也の『年下の男』を読了しました。物語の展開としてはストレートであるとも言えると思うのですが、そのことが期待はずれであると感じられてしまう部分もあって、なかなか難しいものです。 【満足度】★★☆☆☆