文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2024-01-06から1日間の記事一覧

ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ全短篇』

ウラジーミル・ナボコフ 秋草俊一郎・諫早勇一・貝澤哉・加藤光也・杉本一直・沼野充義・毛利公美・若島正 訳 『ナボコフ全短篇』 作品社 ウラジーミル・ナボコフ(1899-1977)の『ナボコフ全短篇』を読了しました。生前に発表された作品、また死後に公刊さ…

赤川次郎『三毛猫ホームズと愛の花束』

赤川次郎 『三毛猫ホームズと愛の花束』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズと愛の花束』を読了しました。四編の作品が収録されたシリーズ短編集です。安定の展開と安定のクオリティというか、それ以上に語るべきものがない作品でもあります。 【満足度】★…

吉村達也『「横濱の風」殺人事件』

吉村達也 『「横濱の風」殺人事件』 徳間文庫 吉村達也の『「横濱の風」殺人事件』を読了しました。中学生の少年が主人公である朝比奈耕作と対峙するという物語の展開は非常に新鮮で面白く読むことができました。本格ミステリーとしての面白さは正直なところ…

関田涙『蜜の森の凍える女神』

関田涙 『蜜の森の凍える女神』 講談社ノベルス 関田涙の『蜜の森の凍える女神』を読了しました。講談社のメフィスト賞を受賞したミステリー小説で、新本格ミステリーの作法に則った秀作です。そのトレース具合に対して好感を持つ部分もあり、一方で少し鼻白…

島田荘司『消える「水晶特急」』

島田荘司 『消える「水晶特急」』 光文社文庫 島田荘司の『消える「水晶特急」』を読了しました。作者らしい大胆なトリックを駆使したミステリー作品で、読者を楽しませるだけの一定の水準に仕上げる力はさすがだなと思わされます。 【満足度】★★★☆☆

吉村達也『空中庭園殺人事件』

吉村達也 『空中庭園殺人事件』 光文社文庫 吉村達也の『空中庭園殺人事件』を読了しました。プロットにマンネリ化を防ぐための作者の工夫が見られます。ミステリーとして面白いかといわれると、純粋に首肯できないものがあるのですが。 【満足度】★★☆☆☆

吉村達也『「巨人―阪神」殺人事件』

吉村達也 『「巨人―阪神」殺人事件』 光文社文庫 吉村達也の『「巨人―阪神」殺人事件』を読了しました。ミステリーとして完成度の高い作者の作品を読むのは何だか久し振りのような気がするのですが、タイトルにも込められている本書のメタ的な設定がミステリ…

清涼院流水『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.8』

清涼院流水 『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.8』 講談社 清涼院流水の『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.8』を読了しました。とんでもない設定のデスゲームに幼い心がくすぐられてしまうのですが、その馬鹿馬鹿しさ…

清涼院流水『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.7』

清涼院流水 『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.7』 講談社 清涼院流水の『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.7』を読了しました。ちょっと話のノリについていけない部分も出てきているのですが、ある意味でよく計算され…

森博嗣『月は幽咽のデバイス』

森博嗣 『月は幽咽のデバイス』 講談社文庫 森博嗣の『月は幽咽のデバイス』を読了しました。特に語るべき言葉が出てこない作品というか、これはシリーズ全体をひとつの大河小説とみなしたときの、一つの章として読まれるべきものなのかもしれません。 【満…

村上春樹『東京奇譚集』

村上春樹 『東京奇譚集』 新潮文庫 村上春樹の『東京奇譚集』を読了しました。長篇『海辺のカフカ』から『1Q84』に至るまでの期間に発表されたもので、五編の短編作品が収録された作品集です。書き下ろし作品である「品川猿」を除く四編の小説は、本作に収録…

吉村達也『「吉野の花」殺人事件』

吉村達也 『「吉野の花」殺人事件』 徳間文庫 吉村達也の『「吉野の花」殺人事件』を読了しました。かなり大部の小説ですが、この頃の作者の作品群と同様に、本格ミステリーとしてのトリックやプロットよりも、別のところに主眼を置いた作品となっていて、そ…