文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』

エリザベス・ストラウト 小川高義

『オリーヴ・キタリッジの生活』 ハヤカワ文庫

 

エリザベス・ストラウト(1956-)の『オリーヴ・キタリッジの生活』を読了しました。本書は2009年度のピュリッツァー賞受賞作で、オリーヴ・キタリッジという元教師の女性を軸として、様々な人々の生の断面を描いた連作短編集です。なかなか読み応えのある作品でした。

 

お決まりの方程式に当てはめたような行動や心理描写とは無縁の小説で、人生においてしばしば直面する「引っ掛かり」を丁寧に取り出してみせる手際には本当に感心させられました。不意に現れる心温まる場面や、それとは逆に心が引きつってしまうような瞬間など、小説ならではの読書体験となりました。私があまり感じ入ることのなかった場面についても、後に読み返してみると新しい発見があるのではないかと思います。

 

【満足度】★★★★☆