文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

トーマス・クーン『コペルニクス革命』

トーマス・クーン 常石敬一

コペルニクス革命』 講談社学術文庫

 

トーマス・クーン(1922-1996)の『コペルニクス革命』を読了しました。『科学革命の構造』を著して科学哲学の世界に喧々囂々の議論を巻き起こす前の「科学史家」クーンの著作です。本書においてクーンは、古代ローマにおけるプトレマイオス天文学やそれに先立つアリストテレス宇宙論などを丁寧に紐解きながら、16世紀におけるコペルニクス革命の意義を説き明かしていきます。

 

円運動という「ドグマ」を守ろうとして、地球中心説から太陽中心説へと移行したとコペルニクスの業績を分析してみせる業はつとに有名なのですが、印象に残ったのはアリストテレスに関する分析で、その議論を全体として捉えようとする見方に、なるほどと思わされるのでした。

 

【満足度】★★★☆☆