文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

プラトン『国家』

プラトン 藤沢令夫訳

『国家』 岩波文庫

 

プラトン(BC427-BC347)の『国家』を読了しました。言わずとしれた古代の哲学者プラトンの著した対話篇です。文庫本上下巻で本文が900ページ超という長さのほぼ全編が、ソクラテスアテナイの人々とによる対話形式で描かれています。「正義とは何か」を主題として始まったソクラテスとの対話は、やがて理想国家をロゴスによって構築するという前代未聞の試みへと収斂していくことになります。

 

プラトンが理想とし(そして現実には挫折を味わうこととなったといわれる)哲人政治の構想については高校の授業で図式的に学んだことを覚えていますが、こうして対話篇のかたちでその議論を追ってみることで、当時の静的学びとは違った生き生きとした理解の感覚を得ることができたように思います。奥行きを持った哲学史上の古典です。

 

【満足度】★★★★☆