文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

アンソニー・ドーア『すべての見えない光』

アンソニー・ドーア 藤井光訳

『すべての見えない光』 新潮社

 

アンソニー・ドーアの『すべての見えない光』を読了しました。ピュリッツァー賞受賞作品で、日本では「Twitter文学賞」も受賞している本書ですが、長いこと本棚に読まれないままに置かれていて、最初のいくつかのフラグメントを読みかけては止めてを繰り返して、ようやくこのたびきちんと読み始めて、読み終えることとなりました。

 

幼い頃に視力をなくしてしまった少女と、孤児院出身でやがてヒトラーユーゲントに加わる少年。この二人の登場人物を軸にして、第二次大戦下のフランスを舞台に、時代に翻弄される人々の運命の交錯が描かれます。期待や前評判が大きかったからでしょうか、この分量(500ページ超)の作品を読んだにもかかわらず、物足りなさを覚えてしまいました。本には読まれるべきタイミングがあるというのが私の経験則なのですが、読む時期を厳選したつもりで、今がそのときではなかったということなのでしょうか。あるいは『メモリー・ウォール』を読んだときもそうでしたが、その調和的な作風に私が違和感を覚えてしまうことが原因なのでしょうか。

 

【満足度】★★☆☆☆