『ミゲル・ストリート』 岩波文庫
V. S. ナイポール(1932-2018)の『ミゲル・ストリート』を読了しました。当時はイギリス領であった現在のトリニダード・トバゴに生まれ、オックスフォード大学で学んだ後に作家となり、ノーベル文学賞も受賞したナイポールの初期作品が本書です。
訳者による解説を読むと、ナイポールが「故郷」でもあるトリニダード・トバゴや「コロニアルな」ものに対して抱く感情には複雑なものがあるようですが、本書において描かれるトリニダード島の「ミゲル・ストリート」に注がれる作者の眼差しには暖かなものがあるように思われます。もちろん、その陰にはやるせなさのようなものが見え隠れしてはいるのですが。
【満足度】★★★☆☆