文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2024-01-18から1日間の記事一覧

マリオ・バルガス=ジョサ『嘘から出たまこと』

マリオ・バルガス=ジョサ 寺尾隆吉訳 『嘘から出たまこと』 現代企画室 マリオ・バルガス=ジョサ(1936-)の『嘘から出たまこと』を読了しました。後にノーベル賞を受賞することになる作家の手になる書評集・評論集です。作者がその影響を公言するアンドレ…

フーケー『水妖記(ウンディーネ)』

フーケー 柴田治三郎訳 『水妖記(ウンディーネ)』 岩波文庫 フーケー(1777-1843)の『水妖気(ウンディーネ)』を読了しました。プロイセン王国でフランス人の父とドイツ人の母との間に生まれたフーケーは、軍人を辞めた後に作家となり、現代であればファ…

平野啓一郎『本心』

平野啓一郎 『本心』 文藝春秋 平野啓一郎の『本心』を読了しました。四半世紀後の日本という近未来を舞台に、現実の社会に確かな眼差しを据えたまま、まっすぐな思索の道筋を小説というかたちで綴ってみせた作品です。物語に登場する老作家を評して言われる…

吉村達也『セカンド・ワイフ』

吉村達也 『セカンド・ワイフ』 集英社文庫 吉村達也の『セカンド・ワイフ』を読了しました。主に集英社から刊行されている、作者が「心理サスペンス」と名付けている作品群のうちの一冊で、お互いの理想や打算のもとで成立する結婚を巡る不協和のうちに潜む…