文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2024-02-04から1日間の記事一覧

カーソン・マッカラーズ『心は孤独な狩人』

カーソン・マッカラーズ 村上春樹訳 『心は孤独な狩人』 新潮社 カーソン・マッカラーズ(1917-1967)の『心は孤独な狩人』を読了しました。1940年に作者が23歳の若さで発表した本書が、当時のアメリカの社会において驚きをもって迎えられたということは容易…

法月綸太郎『誰彼』

法月綸太郎 『誰彼』 講談社文庫 法月綸太郎の『誰彼』を読了しました。コリン・デクスターの作品を意識したというだけあって、初めて読んだときは複雑に展開するプロットに翻弄された記憶があるのですが、今回あらためて読み返してみると、それなりにすっき…

島田荘司『灰の迷宮』

島田荘司 『灰の迷宮』 光文社文庫 島田荘司の『灰の迷宮』を読了しました。作者のセンチメンタリズムがよく出た作品で、地味ながら印象に残る小説です。 【満足度】★★★☆☆

星新一『ボンボンと悪夢』

星新一 『ボンボンと悪夢』 新潮文庫 星新一の『ボンボンと悪夢』を読了しました。こうしてあらためて作者のショートショートを読んでみると、比較的長めの作品からかなり短いもの、オチまでの道筋がシンプルに描かれる作品もあれば、捻りの加えられた作品も…

早坂吝『メーラーデーモンの戦慄』

早坂吝 『メーラーデーモンの戦慄』 講談社ノベルス 早坂吝の『メーラーデーモンの戦慄』を読了しました。過去のシリーズ作品を読んだことがある読者が楽しむことができる要素をはじめとして、正しい答えに辿り着かせるつもりのない(?)読者への挑戦状も、…

今野敏『隠蔽捜査』

今野敏 『隠蔽捜査』 新潮文庫 今野敏の『隠蔽捜査』を読了しました。いまや人気シリーズとなっている異色の警察小説の第一作目です。刊行当初からシリーズ化の構想があったのかどうかについてはよく分からないのですが、主人公の唯一無二のキャラクター造形…

村上春樹『辺境・近境』

村上春樹 『辺境・近境』 新潮文庫 村上春樹の『辺境・近境』を読了しました。アメリカのイースト・ハンプトン、瀬戸内海の無人島、メキシコ、香川県、ノモンハン、アメリカ大陸横断、そして作者が少年時代を過ごした街である神戸と、辺境と近境を巡る旅行記…

吉村達也『姉妹』

吉村達也 『姉妹』 角川ホラー文庫 吉村達也の『姉妹』を読了しました。韓国映画『箪笥』のいわば解題としての役割も担うというホラー小説です。正直なところ、これならば映画を見れば十分という気もしないではないのですが。 【満足度】★★☆☆☆

ピエール・ルメートル『僕が死んだあの森』

ピエール・ルメートル 橘明美訳 『僕が死んだあの森』 文春文庫 ピエール・ルメートル(1951-)の『僕が死んだあの森』を読了しました。比較的短い作品なのですが、よく出来たクライムノベルです。作者お得意の意外な展開はやや影を潜めているというか、若干…

北村薫『玻璃の天』

北村薫 『玻璃の天』 文春文庫 北村薫の『玻璃の天』を読了しました。シリーズ第二弾となる作品ですが、作者らしい細やかな伏線を張り巡らせた本格ミステリーであり、優れた歴史小説にもなっていると思います。登場人物を巡る謎にも進展があって、物語のクラ…