『心は孤独な狩人』 新潮社
カーソン・マッカラーズ(1917-1967)の『心は孤独な狩人』を読了しました。1940年に作者が23歳の若さで発表した本書が、当時のアメリカの社会において驚きをもって迎えられたということは容易に想像がつきます。作者が若干23歳にして本書が示している文学的な深度に達していたという事実には本当に驚かされます。
孤独な聾唖者であるシンガーを結節点にして、いくつかの孤独な魂の遍歴が描かれる群像劇です。この重苦しさというものが、自分には決して無縁ではないものとして、もっと言えば自分自身にリアルに纏わり付いているものとして感じられるタイミングで本書を読んでいたら、また違った感想を覚えていたのかもしれません。
【満足度】★★★☆☆