文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

レイモンド・カーヴァー『大聖堂』

レイモンド・カーヴァー 村上春樹

『大聖堂』 中央公論新社

 

レイモンド・カーヴァー全集の第3巻。高校時代に村上春樹を読んでいたときに、レイモンド・カーヴァーのことも知って、中公文庫で何冊かの作品を読みました。大学時代にはいくつかの短編を英語でも読んだ記憶があります。

 

そのため今回、全集で読んだいくつかの作品は再読ということになるのですが、当時とはまた違った読み味に感じられました。孔雀が登場するということしか記憶に残っていなかった「羽根」では、むしろ奥さんや子どもの存在感がずしっと迫ってきたり、昔は特に何とも思わなかった「ぼくが電話をかけている場所」という作品の良さが感じられたり。

 

本書に先立って読了した全集の第1巻『頼むから静かにしてくれ』は初期の作品集ですが、本作は後期の作品群に属するようです。どちらかというと初期の作品の方がおもしろかったのですが、これもまた読むタイミングによって変化するのかもしれません。また忘れた頃に読んでみると、さらに違った読み心地を味わえるのでしょう。

 

【満足度】★★★☆☆