文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ロバート・L・スティーヴンソン『ジキルとハイド』

ロバート・L・スティーヴンソン 田口俊樹訳

『ジキルとハイド』 新潮文庫

 

ロバート・L・スティーヴンソン(1850-1894)の『ジキルとハイド』を読了しました。高校生か大学生の頃に岩波文庫で読んだ記憶があるのですが、今回は新潮文庫の新訳での再読となりました。誰もが知っている有名作品ですが、細かい粗筋は知らない(あるいは覚えていない)人がほとんどということで、ご多分に漏れず私も細部はすっかり忘れてしまっています。

 

「ジキル」と「ハイド」が同一人物の二つの人格であることは、この本を読むほとんどの人があらかじめ与えられてしまう前提知識なのですが、医学現象である多重人格について多少なりとも知識のある人にとっては、物語の中でジキルとハイドという二つの人格を目にした周囲の人が、両者をまるで別人として認識しているということに驚きを感じるのではないでしょうか。今回の新潮文庫のカバーイラストに明確に描かれたように、ハイドに変身したジキルはまるで容姿が変わってしまっていることに加えて、身長が縮んでさえいるのです。

 

ジキルの旧友であり弁護士であるアタスンがハイドを巡る謎を突き止めていく様は、まるで探偵小説を読んでいるかのようなのですが、この本の面白さがどのあたりにあるのか、少し見失ってしまった読書でした。最近とても忙しくて、あまり本も読めていないし、読書に集中できていないのかもしれません。

 

【満足度】★★☆☆☆