文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

スティーヴン・ミルハウザー『三つの小さな王国』

スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸

『三つの小さな王国』 白水Uブックス

 

スティーヴン・ミルハウザー(1943-)の『三つの小さな王国』を読了しました。1993年に発表された本書の原題は“Little Kingdoms”で、三篇の中編作品が収録されています。「J・フランクリン・ペインの小さな王国」は新聞漫画家でありやがてはアニメーションの制作に傾倒していくことになる主人公の姿が描かれ、「王妃、小人、土牢」では中世ファンタジーを思わせる舞台設定のもとで短い断章が積み重ねられ、「展覧会のカタログ―エドマンド・ムーラッシュ(1810-46)の芸術」では、画家ムーラッシュの作品解説(展覧会のカタログ)というかたちでムーラッシュの人生が描き出されます。

 

いずれもミルハウザーらしい作品です。私自身はミルハウザーらしい作品よりは、そこから少し離れた部分に彼の作品の魅力を感じてしまうのですが。

 

【満足度】★★★☆☆