文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

フローベール『三つの物語』

フローベール 谷口亜沙子訳

『三つの物語』 光文社古典新訳文庫

 

フローベール(1821-1880)の『三つの物語』を読了しました。フローベールが晩年に発表した「素朴な人」「聖ジュリアン伝」「ヘロディアス」の三編が収録された作品集です。未完に終わった長編小説を除くと、フローベールが生前に刊行した最後の作品ということになるようです。

 

主人公である召使フェリシテの姿が印象的な「素朴な人」も良かったのですが、ヨカナーンの首を求めた「サロメ」の裏面を描いた作品ともいえる「ヘロディアス」も印象に残りました。たまに歴史小説を書きたくなるというのが、フローベールの作家としての傾向性なのでしょうか。次は長編第二作目である『サランボー』を読んでみたいと思っています。

 

【満足度】★★★☆☆