文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

門脇俊介『現代哲学の戦略 反自然主義のもう一つ別の可能性』

門脇俊介

『現代哲学の戦略 反自然主義のもう一つ別の可能性』 岩波書店

 

門脇俊介(1954-)の『現代哲学の戦略 反自然主義のもう一つ別の可能性』を読了しました。最近は哲学の本を購入することもほとんどなかったのですが、古本市で目にして衝動的に手に取っていました。

 

本書を手に取ったときに漠然と期待していたのは『理由の空間の現象学』にあったような認識論的な議論の展開だったのですが、本書は「反自然主義」というテーマ・立場に基づいて、哲学の学問論や倫理学も含めた(もちろん認識論も登場するのですが)より広い話題が取り扱われています。別の側面から言うと、多岐にわたる主題を持った過去の発表論文を、ひとつの緩やかなテーマのもとに総括した本ということになります。

 

現代の哲学者が「哲学する」ことのモチベーションをどこに持っているのかは解らないのですが(単なる知的ゲームと割り切る哲学者もいるのでしょうか)、哲学することは常に「哲学とは何か」という振り返りと表裏一体になっているのだとあらためて感じさせられる読書でした。

 

【満足度】★★★☆☆