文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

F・スコット・フィッツジェラルド『美しく呪われた人たち』

F・スコット・フィッツジェラルド 上岡伸雄訳 『美しく呪われた人たち』 作品社 F・スコット・フィッツジェラルド(1896-1940)の『美しく呪われた人たち』を読了しました。本書が発表されたのは『グレート・ギャツビー』が世に出る3年前の1922年のことで、…

星野智幸『呪文』

星野智幸 『呪文』 河出文庫 星野智幸の『呪文』を読了しました。作者らしい衝動力を感じさせる作品なのですが、その衝動が向かうベクトルが分かりそうで分からない、不思議な読み心地の小説というのが率直な感想です。チャプター名に登場人物の名前が冠せら…

ラーゲルレーヴ『ポルトガリヤの皇帝さん』

ラーゲルレーヴ イシガオサム訳 『ポルトガリヤの皇帝さん』 岩波文庫 ラーゲルレーヴ(1858-1940)の『ポルトガリヤの皇帝さん』を読了しました。セルマ・ラーゲルレーヴはスウェーデンの作家で、1909年にスウェーデン人初・女性初のノーベル文学賞受賞作家…

乗代雄介『旅する練習』

乗代雄介 『旅する練習』 講談社 乗代雄介の『旅する練習』を読了しました。第164回芥川賞候補作となった作品で、乗代氏は常連の候補者となりながら、このときも受賞には至りませんでした。本書は岡山市の主催する坪田譲治文学賞を受賞していて、大人も子ど…

ジェイン・オースティン『マンスフィールド・パーク』

ジェイン・オースティン 中野康司訳 『マンスフィールド・パーク』 ちくま文庫 ジェイン・オースティン(1775-1817)の『マンスフィールド・パーク』を読了しました。19世紀初めに活躍し近代イギリス小説のひとつのピークをなしたオースティンの作品群につい…

グラス『ブリキの太鼓』

グラス 池内紀訳 『ブリキの太鼓』 河出書房新社 ギュンター・グラス(1927-2015)の『ブリキの太鼓』を読了しました。1959年に発表されたグラスの第一作目の小説であり、彼の代表作でもある作品です。学生時代に集英社文庫の高本研一氏の翻訳で読んだことが…