文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-09-03から1日間の記事一覧

イェンセン『王の没落』

イェンセン 長島要一訳 『王の没落』 岩波文庫 イェンセン(1873-1950)の『王の没落』を読了しました。ヨハネス・ヴィルヘルム・イェンセンはデンマークの国民的作家で、1944年にノーベル文学賞を受賞しています。本書はイェンセンが16世紀の北欧を舞台に描…

コーマック・マッカーシー『果樹園の守り手』

コーマック・マッカーシー 山口和彦訳 『果樹園の守り手』 春風社 コーマック・マッカーシー(1933-)の『果樹園の守り手』を読了しました。本書は1965年に発表されたマッカーシーのデビュー作品です。寡作で知られる作者が発表した小説は全部で12作品のよう…

岡田利規『掃除機』

岡田利規 『掃除機』 白水社 岡田利規の『掃除機』を読了しました。本書には表題作をはじめとして、ドイツとノルウェーの劇場で演じられた四篇の戯曲が収録されています。小説家であると共に、劇作家・演出家である作者のいわば本業である営みから生み出され…

村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』

村上春樹 『神の子どもたちはみな踊る』 新潮文庫 村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』を読了しました。ハードカバー刊行時に読んで以来ということになるため、20年以上も時間を空けてからの再読ということになりました。それぞれまったく独立したエピソ…

吉村達也『ボイス』

吉村達也 『ボイス』 角川ホラー文庫 吉村達也の『ボイス』を読了しました。韓国のホラー映画のノベライズということです(作者が韓国映画をノベライズするに至った経緯が一体どういうものなのかはよく解らないのですが)。原作もあり、プロットはしっかりし…

宗田理『2年A組探偵局 ラッキー・マウスの謎』

宗田理 『2年A組探偵局 ラッキー・マウスの謎』 角川文庫 宗田理の『2年A組探偵局 ラッキー・マウスの謎』を読了しました。中学生を探偵とするシリーズ作品の第一作で、このシリーズの登場人物たちもやがてメインシリーズである「ぼくら」シリーズとクロスオ…

赤川次郎『三毛猫ホームズのクリスマス』

赤川次郎 『三毛猫ホームズのクリスマス』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズのクリスマス』を読了しました。やはり三毛猫ホームズシリーズは長編作品が面白いというか、短編作品は良くも悪くも記憶に残らない作品が多いなと思わされてしまいます。 【満…

スティーヴン・キング『ペット・セマタリー』

スティーヴン・キング 深町眞理子訳 『ペット・セマタリー』 文春文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『ペット・セマタリー』を読了しました。キング初期の有名ホラー作品ということもあって、物語の基本的な設定については聞いたことがあったのですが、小…

宗田理『ぼくらの秘島探検隊』

宗田理 『ぼくらの秘島探検隊』 角川文庫 宗田理の『ぼくらの秘島探検隊』を読了しました。映画化された作品ですが、プロットにはかなり異なる部分もあるようです。相変わらず中学生とは思えない登場人物たちの胆力には驚かされるのですが、予定調和を微妙に…

有栖川有栖『海のある奈良に死す』

有栖川有栖 『海のある奈良に死す』 角川文庫 有栖川有栖の『海のある奈良に死す』を読了しました。派手なトリックが出てくるわけではないのですが、小技の効いたロジックの積み重ねで読ませる作品となっています。ミステリーの地力といったものがなければ書…