文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

コーマック・マッカーシー『果樹園の守り手』

コーマック・マッカーシー 山口和彦

『果樹園の守り手』 春風社

 

コーマック・マッカーシー(1933-)の『果樹園の守り手』を読了しました。本書は1965年に発表されたマッカーシーのデビュー作品です。寡作で知られる作者が発表した小説は全部で12作品のようですが、本書をもってそのうち8作品が日本語に翻訳されたことになります。

 

フォークナーの影響が色濃く感じられるデビュー作品です。しかし、この時点で既に作者の独特な文体はほぼ完成されていて、その文体から構築される作品世界の中でマグマが噴き上がるように暴力が表出してはまた消えて、その中で倫理というものについての主張が立ち上がってきます。

 

【満足度】★★★★☆