村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』を読了しました。ハードカバー刊行時に読んで以来ということになるため、20年以上も時間を空けてからの再読ということになりました。それぞれまったく独立したエピソードが描かれた短編集ですが、それが連作短編集と呼ぶべきものとなっているのは、神戸を襲った大地震の記憶というものが媒介になっているためです。
登場人物たちが、あるときには長い人生の中で多くの犠牲を払うことで、ようやく辿り着いた選択に読者である私もようやく追いつけたような気がします。初読のときに印象に残った作品が「かえるくん、東京を救う」で、今回はそれ以外の作品であるという点にもその変化が顕れているような気がします。
【満足度】★★★★☆