文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

イェンセン『王の没落』

イェンセン 長島要一訳

『王の没落』 岩波文庫

 

イェンセン(1873-1950)の『王の没落』を読了しました。ヨハネス・ヴィルヘルム・イェンセンはデンマークの国民的作家で、1944年にノーベル文学賞を受賞しています。本書はイェンセンが16世紀の北欧を舞台に描いた歴史小説で、実在の人物であるクリスチャン2世の政治的激動の時代を背景にフィクションの人物であるミッケル・チョイアセンを主人公に据えて、その苦い生き様を力強い筆致で描いています。

 

本書は青春小説や大河小説の赴きもありながら、激情によってしか自らの思いを表出できない主人公ミッケルの特異な生き様は、本書の素直な受容を拒む要因になっているようにも思われます。

 

【満足度】★★★☆☆