文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2024-02-19から1日間の記事一覧

T. E. カーハート『パリ左岸のピアノ工房』

T. E. カーハート 村松潔訳 『パリ左岸のピアノ工房』 新潮社 T. E. カーハートの『パリ左岸のピアノ工房』を読了しました。本書のカバーに書かれたプロフィールによれば、作者はアイルランドとアメリカの二つの国籍を保有し、世界各地を回った後に本書の執…

綾辻行人『Another 2001』

綾辻行人 『Another 2001』 角川文庫 綾辻行人の『Another 2001』を読了しました。半年前に読み直したシリーズ前作である『Another』とスピンオフ作品である『Anothe エピソードS』からあまり間を置かずに読もうと思っていた作品なのですが、結局はこのタイ…

吉村達也『富士山殺人事件』

吉村達也 『富士山殺人事件』 光文社文庫 吉村達也の『富士山殺人事件』を読了しました。目次ページなど随所に工夫も凝らされていて、読者を楽しませようという作者の遊び心が感じられるとともに、設定にもトリックにも本格ミステリーに対する作者の気概が感…

五十嵐律人『法廷遊戯』

五十嵐律人 『法廷遊戯』 講談社文庫 五十嵐律人の『法廷遊戯』を読了しました。映画化もされて話題となっているメフィスト賞受賞作で、現役の法曹によって書かれたミステリー作品です。法律の解釈を巡る丁々発止のやり取りはこうしたバックグラウンドを持つ…

吉村達也『ラベンダーの殺人』

吉村達也 『ラベンダーの殺人』 角川mini文庫 吉村達也の『ラベンダーの殺人』を読了しました。「三色の悲劇」と題されたシリーズ作品からの続編とし角川ミニ文庫から刊行されたのが本書です。後にはリメイクされて角川文庫に収録されています。 【満足度】★…

イアン・マキューアン『夢みるピーターの七つの冒険』

イアン・マキューアン 真野泰訳 『夢みるピーターの七つの冒険』 中央公論新社 イアン・マキューアン(1948-)の『夢みるピーターの七つの冒険』を読了しました。マキューアンが書いた児童書ですが、マキューアンらしく一筋縄ではいかないところもあって、大…

吉村達也『妖しき瑠璃色の魔術』

吉村達也 『妖しき瑠璃色の魔術』 角川文庫 吉村達也の『妖しき瑠璃色の魔術』を読了しました。不思議な殺人現場が描かれるとともに、物語自体も悲劇的で不穏な余韻を残したままで終わりを迎えます。今思うとなかなかに思い切った作品だと思うのですが、読者…

赤川次郎『血とバラ』

赤川次郎 『血とバラ』 角川文庫 赤川次郎の『血とバラ』を読了しました。超が付くベストセラー作家の初期短編集です。郷原宏氏による解説と及川達郎氏によるカバー画が安定のクオリティで作品を支えているという印象です。 【満足度】★★★☆☆

吉村達也『哀しき檸檬色の密室』

吉村達也 『哀しき檸檬色の密室』 角川文庫 吉村達也の『哀しき檸檬色の密室』を読了しました。密室トリックを表題に謳ってはいるものの、トリックそのものというよりはその“位置づけ”のようなものを描くことが、作者の狙いだったようです。結末の消化不良に…

サン=テグジュペリ『ちいさな王子』

サン=テグジュペリ 野崎歓訳 『ちいさな王子』 光文社古典新訳文庫 サン=テグジュペリ(1900-1944)の『ちいさな王子』を読了しました。日本でも大人気の本作品については、翻訳出版権がなくなってから多くの翻訳が出されましたが、岩波書店の内藤濯訳以外を…

ケストナー『飛ぶ教室』

ケストナー 丘沢静也訳 『飛ぶ教室』 光文社古典新訳文庫 ケストナー(1899-1974)の『飛ぶ教室』を読了しました。新潮文庫の新訳でこの作品を読んだのは、およそ4年半前のことでしたが、本書が古本屋で100円で売られているのを見つけて、このたびの読書とな…