『ちいさな王子』 光文社古典新訳文庫
サン=テグジュペリ(1900-1944)の『ちいさな王子』を読了しました。日本でも大人気の本作品については、翻訳出版権がなくなってから多くの翻訳が出されましたが、岩波書店の内藤濯訳以外を読むのは、私にとっては初めてのことです。まずもって『ちいさな王子』という原題に即した翻訳が選ばれていることが新鮮です。
『夜間飛行』などの作品も十分に詩情を感じさせる小説だったと思うのですが、本作については作者の哲学のようなものが寓意的に詰め込まれた部分が特に目に付いて、嵌る人には嵌るのでしょうし、ある場面においてはそれが鼻についてしまう部分もあるのかもしれません。私自身の読書体験としては前者に軍配が上がるのですが、おそらくそれは少数派なのかなとも思います。
【満足度】★★★☆☆