イアン・マキューアン 真野泰訳
『夢みるピーターの七つの冒険』 中央公論新社
イアン・マキューアン(1948-)の『夢みるピーターの七つの冒険』を読了しました。マキューアンが書いた児童書ですが、マキューアンらしく一筋縄ではいかないところもあって、大人が読んでもそれなりに楽しむことができる作品です。ファンタジーと呼んでもよいのですが、荒唐無稽な展開の中に作者らしいシニカルさが出ていて、ハッとさせられる箇所に出会うことがあります。
「いじめっ子」と訳された章では、想像力から生み出された理屈が現実の課題を(ある意味では)解消する様子を読者は目にするわけですが、そのこと自体についてもどこか冷めた視線を向けているという点に、作者の真骨頂があるのだと思います。
【満足度】★★★☆☆