文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』

伊勢田哲治

『哲学思考トレーニング』 ちくま新書

 

伊勢田哲治の『哲学思考トレーニング』を読了しました。本書はいわゆるクリティカルシンキングのスキルについて書かれた本なのですが、そのスキルは著者自身が専門とする哲学・科学哲学・倫理学の思考法をもとにして語られています。本書の冒頭では、「理系」と「文系」による科学研究費の獲得競争についても少し触れられていますが、文系学部の典型とみなされている哲学の「実用性」についても主張がなされています。

 

デカルトの『方法序説』に書かれた「方法」について、「諸君らは当たり前のことを書いていると思うだろうが、ここには本当にいいことが書いてある」と語っていた科学哲学の先生のことをふと思い出します。たしかにそこで学んだ知識、というよりも実践的トレーニングは仕事をする上でも役立っているように思います。あらためてそんなことが思い出された読書体験でした。

 

【満足度】★★★☆☆