文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

G・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録 十二の遍歴の物語』

G・ガルシア=マルケス 野谷文昭・旦敬介訳

予告された殺人の記録 十二の遍歴の物語』 新潮社

 

G・ガルシア=マルケス(1927-2014)の『予告された殺人の記録 十二の遍歴の物語』を読了しました。新潮社のガルシア=マルケス全小説シリーズの一冊で、中編作品『予告された殺人の記録』と短編集『十二の遍歴の物語』、そして1982年度のノーベル文学賞受賞講演である「ラテンアメリカの孤独」が収録されています。

 

予告された殺人の記録』は大学時代に新潮文庫で読んだ記憶があるのですが、あらためて読み返してみた今回印象に残ったのは、ジャーナリズム的な手法の部分でした。以前に読んだときは魔術的に絡み合わされた事件の背景部分が気になったのですが、その魔術性がある意味で取り払われたという印象です。

 

『十二の遍歴の物語』はその成立史も含めて初めての読書となりましたが、冒頭の「大統領閣下、よいお旅を」を特に面白く読むことができました。ノーベル文学賞受賞講演はびっくりするほど普通の出来栄えだったのですが、ガルシア=マルケスは人前で話すことが苦手だったという解説を読んで幾分納得したのでした。

 

【満足度】★★★★☆